白馬三山 杓子岳/双子尾根

毎年恒例のシーズン最後の雪山山行、例年は5月末か6月の初めなのだが雪が少なそうなので早めた。

15年以上前からほぼ毎年、この時期に白馬周辺エリアに来ている。主目的は雪訓である。ここ5~6年は、栂池高原から入り白馬大池をベースにし、近くの斜面で雪訓や技術の検証を行って、翌日、白馬山頂をピストンして帰ることが多かった。その前は小日向のコルをベースにして雪訓、翌日、双子尾根を登って杓子沢下降でベースに戻っていた。

栂池高原のロープウェイは6月からの営業なので、久しぶりに小日向のコルから双子尾根を登る事にした。計画は、双子尾根を登り白馬鑓山頂で幕営、大出原を下降して白馬鑓温泉経由で小日向のコルに戻り猿倉へだったが、杓子岳から白馬岳・大雪渓経由で猿倉となった。

コースタイム

5/24(土)  猿倉/9:10発⇒小日向のコル/11:00~11:15⇒樺平/13:10~30⇒杓子岳山頂/17:10~20⇒白馬岳頂上宿舎▲/18:55着

5/25(日)  ▲4:50発⇒白馬岳山頂/5:20~40⇒▲5:50~6:00⇒猿倉/8:30着

装備重量   ピッケル・アイゼン含めての総重量 21kg

メンバー   K宮  単独

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24日(土) 前夜21時発の特急で新宿駅を出る。松本駅で仮眠。始発の電車で白馬駅に8時着。11時間の長旅である。夜行電車・急行アルプスが毎週金曜日に走っていた当時が思い出される。今は、ムーンライト信州81号の走らない金曜日は大変である。計画たてても21時の特急電車に間に合わない事もある。バスの連絡もなくタクシーで猿倉荘(写真)まで行く。8時30分着で車は10台位あったか? 途中の街中からの白馬三山の景色は見事である。見とれていて写真撮らなかった事を後悔した。小日向のコル方面には登山者よりスキーヤーの方が多い。今回は下降や上部バリエーションルートへのアプローチ、雪訓で10回位は登り降りしたルートなので、ロープは持ってこなかった。杓子岳山頂までの高低差1600m弱か?

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小日向のコルより、中央の杓子沢を挟んで左が白馬鑓、山頂から真っすぐ下に降りている尾根が北稜で右が杓子岳、ここにもA~Dの4本のルートがある。北稜は元会員のM井さんと杓子A尾根は同人WのO野×2と何年も前に登った。コル直下の雪壁は毎度の事ながら辛い。大休止したい所だがそうもいかない、時間との勝負だ。杓子岳山頂まで高低差1000m位。

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コルを出発すると間もなくブッシュが出てくる。最初は右側面の残雪を利用しながらの藪こぎ、次第に残雪が小さく不安定になってくる。最後は完全な藪こぎとなる。下向きの枝や笹が複雑に絡み進路を塞ぐ。多少の覚悟はしていたがここまでとは想定していなかった。ふと、杓子岳頂上直下の残雪量が気になる。直下のリッジの通過が核心で雪が多ければ快適なリッジとなるが、無いと脆い岩の怖いリッジとなる。ここでの敗退も考えられる。姿は見えないが先行者がいるみたいだ、雪上にアイゼンの後がついていた。途中、二人パーティーに追いつくが帰るという。

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途中からは完全な藪こぎ、尾根が細いので中央突破するしかない(写真)。私も帰りたくなったが、樺平までいけばと歩を進ませた。藪こぎは樺平手前のピークまで続いた。樺平は幕営適地だが、雪が少なく雪面が汚れていた。

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樺平からは、急な雪壁とリッジが続くが、今までで最も少ない雪の量である。雪は締まっていて歩きやすいがリッジは細くなっていて緊張をしいられる。右手に白馬岳(写真)が望まれる。右から主稜・三号尾根・二号尾根となる。来るたびに三号尾根が気になったがもう行くこともないだろう。

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双子尾根下部を振り返る。気温が高くなり雪が腐ってくる。敗退下降時にはアイゼンに雪の団子が付き緊張をしいられ時間がかかりそうだ。こういう時、ロープがあると心強いのだが・・・・・・

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双子尾根上部と杓子岳山頂。山頂には雪庇が見える。下部とは反対に雪は多そうだ。敗退の確立はグッとへった。杓子尾根とのジャンクションピークの先からは新雪も加わり膝までのラッセルをしいられた。最後のリッジは新雪もあり、不安定ながら8割方雪が付いていた。この頃から、上空の空模様が怪しくなり風も強くなってきた。

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何とか杓子岳山頂に這い上がった。時刻は17時10分、幕営予定地の白馬鑓ヶ岳(写真)は雪がべったり付いている。風も強い。ブロック積むだけの体力気力もなく、ルート変更を決断し白馬岳頂上宿舎を目指す事にする。(タクシーの運転手さんが2~3日前に稜線は雪が降ったようだと言っていた。)

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杓子岳山頂から白馬岳を見る。日没まで2時間位か、双子尾根は気が張っていたせいか比較的元気だったが、一気に疲れが出た。向かい風に逆らいながら歩を進める。テント張れる場所を探しながら歩くが強風を遮る場所はない。頂上宿舎は見えるが中々着かない。日没も近い、焦る事もないが早く荷物を降ろしたい。毎度のことながら最後は10m位歩いて立ち止り呼吸を整え又歩くの繰り返し。何とか日没前に頂上宿舎(下の山小屋)に着いた。テントが二張りあった。風の比較的弱い場所をえらんで日没直前にテント設営。19時20分    23時まで酒のんで寝る。 今日の行動時間10時間位。

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25日(日)  3時に起きてテントの外に出る。昨夜からの強風は相変わらず続いている。ガスも出て見通しも悪い。天気が良ければ10時頃までのんびりして大雪渓を下山しようと思ったが、回復の兆しは無さそうなのでテントを撤収し空身で白馬山頂を踏みに行く。写真はチョットしたガスの晴れ間の山頂。20分程晴れ間を待つが諦め下山にかかる。

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途中ザック回収、白馬大雪渓(写真)を下る。昨日の双子尾根の二人組以来、ここまで登山者やスキーヤーには会わない。完全に一人の世界であった。傾斜の一番強い斜面を降りた所で、下から登って来る人影を確認する。

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白馬大雪渓を下から見る。登ってくる人はほとんどスキーヤーで登山者は少なかった。30人位いたか。天気は回復するのかなと思う。でも稜線はまだガスっている。ここまではたいして歩いていないが膝をかばいながらの下降でヨレヨレになってしまった。ゴールデンウィークに来ると下部の緑が鮮やかだが、今日は少し色あせていた。下るにつれスキーヤーと登山者が続々と登ってくる。猿倉で下山祝い(ビール)を飲みタクシーで白馬駅へ、駅の売店で地元のかぜ薬(日本酒)を仕込み電車へ、しかし大糸線の各停電車は混んでいておあずけ。松本駅で特急に乗り換えやっとかぜ薬にありつけた。 今日の行動時間  3時間40分

追伸

丸山中央山稜では筋肉痛は出なかったが、今回はふくらはぎと太ももに強い筋肉痛が出た。

6月初めに、雪訓で白馬大池に行きたいが夜行電車の使えない山行は辛い。今シーズンの雪山は終わりとする。

天狗尾根の報告は、誤字・名称間違え等が多かった。公開後に気が付いた。反省。

 

報告   K宮

 

白馬三山 杓子岳/双子尾根」への1件のフィードバック

  1. S

    お疲れさまでした。
    今シーズンの雪山ではお世話になりました。夏のバリエーションもよろしくお願いします。

    返信

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