【北ア】剱岳八ツ峰

Sきです。

今年のGWは北アルプスの剱岳八ツ峰に行ってきました。

メンバー:Sき(L)、Yか

5/1(金) 東京 21:00 → 扇沢 2:00
5/2(土) 扇沢 6:30 → 6:45 黒部ダム 7:00 → 10:00 内蔵助平 → 11:45 はしご谷乗越 → 14:15 長次郎谷出合(C1)
5/3(日) (起床) 1:00 C1 3:25 → 6:15 八ツ峰一・二のコル → 8:05 五峰 → 9:10 五・六のコル → 16:05 八ツ峰の頭 → 17:00 C2
5/4(月) (起床) 2:30 C2 5:00 → 6:30 剱岳 → (平蔵谷) → 8:30 平蔵谷出合 → 11:10 劔御前小屋
5/5(火) 劔御前小屋 7:00 → 9:10 室堂

 

 

クライミングは楽しいものだけど、意外と憂鬱になる時がある。

フリークライミングのRP狙いで登る前はイヤ~な気分になるし、今回のような継続での4日間の山行となると1週間前くらいから色々なことを考えてしまう。天気はどうだとか、雪の状態はどうかとか、寒くはないかとか、食糧は足りるのかとか、、、本来楽しいはずのクライミングなのに、不安のほうが勝ってしまうのだ。まあ、剱岳のバリエーションに行くのに楽しいとしか思わない人は危ないと思うので正常な感覚なんだろうけど、それでも行くのは何でかというと単純に登りたいから。

以前、会の先輩が言っていたのだが、

「山は辛いことも多いけど、登りたいとか楽しいとか、そういう気持ちは大切だと思う」

と。

今回の山行はその言葉を思い知ることになった。登る楽しさを知らなかったらやってられないほど今回の山行はきつかった。

 

■5/1(金)
東京を21時に出発。途中事故渋滞でハマったので遅くなってしまったが2時に扇沢に到着。

 

■5/2(土) (晴れ)
5時に起床。6時半のトロリーバスに乗り、黒四ダムに到着。ここで準備をしていたら、なんとKヤさんと偶然会った。こういうところで会えるのは何か嬉しい。Kヤさんは真砂尾根から大日岳を目指すとのことで、今日はハシゴ谷乗越までとのこと。自分達の方が行程が長いので、先に出発した。

今年は温かい日が多くて雪が少ないんじゃないかと思っていたが、案の定雪は少なかった。天気もよく半袖でも暑いくらい。もう初夏の気候である。

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黒四ダム

黒四ダムを下降し、半分壊れた橋を恐る恐る渡り、黒部川沿いを歩いて行く。

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途中丸山東壁を左にして、内蔵助平からハシゴ谷乗越へと進んでいく。と、ここまでは順調だったのだが、ハシゴ谷乗越を過ぎたところで最初のトラブル発生。足を滑らした時に腿裏を痙ってしまった。今シーズンはジョウゴ沢や赤岳でも足が痙ったが、変な癖がついてしまったものである。おそらくかなり暑かったし、乾燥していたので水分不足になっていたのだろう。少し休んでから急な下りを降りていった。けど、この下りはイヤだった。暑いせいで雪が腐っておりとにかく滑る。結局今回の山行はこの腐った雪に苦しめられることになったのだが…

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丸山東壁

何とか下って真砂沢出合で休もうとザックをおろした時に2つめのトラブルが発生。ザックにつけていたバイルが1本なくなっているのである。どこかでコケた時にとれてしまったのだろうけど、どこで落としたか検討が付かない。ハシゴ谷乗越ではあったので、下っている時なのだが、あの急登を登り返すのはキツイ。半分あきらめたけど一応戻って探してみたら、すぐに見つかった。いやいや、本当に良かった。

気を取り直して歩を進め、その日は長次郎谷出合にテントを張った。八ツ峰に詰めるところを偵察してから食事。温かいのですぐに水が作れて楽だった。

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下部にあるオレンジ色がテント

 

■5/3(日) (晴れ)
1:30に起床。この日は五・六のコルまででも良かったぐらいなのだが、翌日天気が崩れそうなので、今日中に八ツ峰は抜けてしまいたい。なので、かなり早く出発することにした。3:25に出発。まだ暗いが天気は最高である。

長次郎谷を登っていると、後ろから別のパーティーが追い付いてくる。八ツ峰を登るのだろうと思っていたのだが、一・二のコルの取付きを無視して先に行ってしまった。少し不安になったが、どう考えても昨日偵察した取付きは間違っていない。後でわかったのだが、このパーティーは五・六のコルから取り付いたようである。で、自分たちは急登を苦しみながら何とか上り一・二のコルに抜けた。

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一・二のコルから五峰までは順調そのもの。四峰で1回懸垂して8時頃には五・六のコル手前の懸垂ポイントに到着。

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目の前には源次郎尾根

ここで先行パーティーにちょっとだけ待たされたが、9時には五・六のコルに到着。これなら午前中に八ツ峰は抜けられるんじゃないかと思っていたのだが、ここからエライことになってしまった。

六峰への登りは雪と岩が混じった壁になっている。Yかさんが先行して登っていくが、雪が腐ってて中々進めない。途中、雪と岩のミックスになり、念のため1ヶ所ロープを出した。

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壁を超えてからもトラバースやナイフリッジでいやらしい箇所が続く。とにかく雪の状態が悪くて、踏み跡はあるのだが、全荷のせいですぐに踏み抜いてしまう。何度も足で踏み固めて行くしかなく、ペースが上がらないし、とにかく気が抜けない。

 

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七峰からの懸垂ではロープを絡ましてしまい、かなり時間を使ってしまった。で、最後の八峰から八ツ峰の頭へ抜けるところなのだが、最後雪壁に踏み跡が付いている。けど、全荷でグチャグチャの雪なのに、あれは登りたくない。どうしようか迷いながら最後の岩稜帯に取り付いたのだが、ここではまってしまった。

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ルーファイをミスって懸垂したり、そのロープが抜けなくなってしまったり、難しいルートに取り付いてしまったり、、、9時に六峰に取り付いたのが、既に15時をまわっている。ミスが重なった上に時間も少なくなり焦ってきたのだが、目の前のコルではビバークしているパーティーがいる。自分たちも何とかあそこまでは、と思いギリギリだったが岩稜帯を突破。最後に恐ろしいナイフリッジを渡り、16時にやっとのことで八ツ峰の頭に抜けることが出来た。そこから悪い所を抜けて懸垂してこの日は終了。既に17時となっており、何とこの日は13時間半も行動することになってしまった。

それでも抜けられてホッとした。もうバテバテだったのだが、何とかテントを張ることができた。

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これを抜けて終了

 

■5/4(月) (曇のち雨)
2:30に起床。5:00には出発。昨日で体力を使い果たしてしまい、天気が崩れることもわかっているから今日は予定を早めて室堂から下山するつもりだった。予報では午後から雨になるとのこと。なので、午前中に下山したかったけど、結局下山は出来なかった。

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八ツ峰全景

昨日も大変だったが、この日も順調にはいかなかった。剱岳を超えたところでアイゼンが石に挟まってしまい右足首を捻挫してしまう。けど、痛みはあるが普通に歩くことは出来たので助かった。ここで歩くのに支障をきたしていたら結構やばかったと思う。

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劔岳本峰

なぜかというと、カニのタテバイの手前から平蔵谷を下り、剱沢を登っているところで雨が降ってきたのだが、雨風が段々強くなってくる。剱沢小屋を抜けた10時半頃には台風のような状態になり、もうずぶ濡れのなかフラフラになりながら登っていく。この日は気温も高くて大丈夫だったが、これで気温が下がっていたら危なかったんじゃないかと思う。

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剱沢

で、前は全く見えないし、かなりしんどい状態だったが、11時頃に劔御前小屋に到着。今日はもうここで休むことにした。明日には天気は良くなるみたいだし、元々の計画も5日下山なので、ある意味予定通りでしょう。本当であれば、黒四ダムまで自力で下るはずだったけど、捻挫もしているし無理は禁物ということで。

ずぶ濡れになった衣服を乾燥室で乾かし、一服しようと休憩室でお茶を飲もうとしたら何とKヤさんがいるじゃないですか。Kやさんは昨日からここで待機しており、翌日から大日岳を目指すとのこと。全くの偶然だったけど、これは嬉しい誤算。この日は3人で飯を食べながらここまでの結果報告で盛り上がった。ちなみに、自分は人生初の山小屋である。こんなに快適だとは思わなかった。

 

■5/5(火) (晴れ)
この日は下山するだけ。昨日の天気が嘘のように晴れている。雷鳥沢を下り、9時過ぎには室堂に到着。そのまま乗物を乗り継いで扇沢まで戻った。

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室堂にいた雷鳥

と、文章にすると何でもないような感じなのだが、今回はミスが多くて反省するところが多かった。それでも無事下山できたのは運が良かっただけなのかもしれないが、いい経験になった。

来る前は憂鬱だったのに、登ってみるとこれ以上はない充実感というか、やっぱりGWの劔は特別だと思う。雪の状況が悪く、かなり恐ろしい思いもしたけど、このエリアの魅力は他では味わえないんじゃないですかね。練習して来年も劔にチャレンジしたいと思う。

 

 

来年もきっと憂鬱な気分になるんでしょうな。

 

 

 

#Yかさん、お疲れさまでした。不甲斐ないリーダーで申し訳なかったですが、それでも八ツ峰に登れたのはYかさんの歩荷力、スピード、スタミナがあったからこそです。練習してまたチャレンジしましょう。

 

 

【北ア】剱岳八ツ峰」への2件のフィードバック

  1. Kいそ

    お疲れさまでした。

    色々な課題をクリアされて無事に下山されたこと何よりです。

    返信
  2. Yか

    今まで最高に濃いゴールデンウィーク、山行になりました。ありがとうございました。
    あの厳しさがあったからこそ、室堂で握手した瞬間の充実感があったと思います。トレーニング積んでまた来年も
    剱にチャレンジしてみたいです

    返信

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