K宮です。今期の年末年始の山行は、予備日1日を含んだ4日間の日程での計画とした。 上越・南・中央アルプスと探したが、今の私の体力・技術力に見合う良いルートが見つからない。雪壁・雪稜とやさしい岩稜がポイントである。そこで浮かんできたのが西穂高岳西尾根である。前期の槍ヶ岳、今期の西穂高岳と連続での槍穂連峰になった。
山 行 日
H28年12月30日(金) ~ H29年1月2日(月)
ルート/コースタイム
H28年12月
30日(金) 新穂高登山指導センター(11:00~) → 穂高平小屋(12:05~25) → 1946m地点(15:30) ▲
31日(土) ▲(5:30~) → 小ピーク前/2378m付近(8:10~50) → JPピーク/2695m地点(10:05~) → 西穂高岳山頂/2909m(12:05~15) → ピラミッドピーク/2780m(13:05~30) → 独標/2701m(13:40~14:00) → 西穂山荘/2360m付近(14:35) ▲
H29年1月
1日(日) ▲(9:25~) → ロープウェイ/西穂高口(10:05~55) → ロープウェイ → 新穂高温泉口(11:30) → 松本BT行き直通バス(11:30~) → 松本BT(13:35)
メンバー K宮単独
総重量 25Kg
荷重 20~21Kg
30日(金)
前期の槍ヶ岳の時よりも、1時間程早い10時20分に新穂高登山指導センターに着いた。出発準備をし、計画書を提出して登山届届済証(カード)をいただく。好天の中を、トレースを忠実に穂高平小屋へ向かう。牧場内にはトレースはあったが、すぐに二手に分かれていた。左が私の考えていた尾根に向かっている。ただ、右の方がしっかりしている。合流するだろうと右を進むが、合流どころか目的の尾根を越えて更に奥に向かっている。ザックを降ろし思案する。戻るのもラッセルも時間と体力のロスだ。最悪の場合、予備日もあるしと覚悟を決め先に進む。幸い、正規ルートだった。要所には標識もある。しかし、この尾根は短いが急登だった。単純に地図を見れば私の想定した尾根を選ぶと思うが・・・ 現にこの尾根からのパーティーもいた。でも、私の取ったルートがベストなのだろう。比較はできないが・・・ 前回は、この2ルートと違う所を登った。急登を喘ぎながら登っていると、先に入山した2人パーティーが下りてくる。29日に上部で降雪があり日程的に厳しくなって降りて来たとの事。まだ、2パーティーが残っているとの情報をいただいた。樹林帯は尾根が細い上に雪が締まっていないので幕営地が限られる。そこでこのピーク(1946m)を幕営地とした。ここに、3張8名が集結した。
31日(土)
(小ピークを登り切った2人パーティー ) ( JP 直下の先行パーティー)
昨夜、今日の行動を逆シュミレーションした。西穂高岳山頂を12~13時着、小ピーク前の2400m付近を遅くても9時、で出発を5時。 J P ピーク到着時の到着時間と天候で同ルート下降か北西尾根(5月だが過去にトレース済み)下降かを決断する。3時起床、外気温はー10℃だった。出発は遅れて5時30分、ヘッデンを付けてトップで行動を開始する。星も見え風も弱く、トレースもある樹林帯を黙々と歩く。2300m辺りの幕営適地で3テンと5テンのテントを見つける。中で動いている気配はない。トレースもここまでかと覚悟する。でも、ワカンの跡が先に向かっている。潜るがワカンの跡を追う。偵察に行った後か? ワカン跡は小ピーク前の高台まであった。この西尾根は、大分前の同時期に歩いているが全く記憶にない。空身でコルに降りルート偵察をして戻り、行くかと気合を入れたら、昨夜、同じ幕営地でテントを張った4人パーティーが来た。そのまま、トップに発ちラッセルして行く。後を追いかけ後ろに着こうと思うが、近づいても最後尾に着けない。情けない。トップは膝上位のラッセルか? 小ピークを回り込み尾根に這い上がると一部岩の露出した雪面になる。登り切った所が J P ピークだ。10時、上部は良く見えるが、右手下方に嫌な雲があり強風に乗り近づいてくる。この雲と強風は気になるが、先行の4人パーティーの進行状況から見て深いラッセルもなく現状で敗退は考えられない。見える登山者は、先行4人と私と後方2人の7人のみ。
雪が少なく岩にアイゼンの爪があたり歩きにくい。ラッセルするより良いかと言い聞かせ4人を追う。左写真の岩稜を回り込み浅いルンゼを攀じる。岩と雪のミックスだ。この辺りから気になっていた雲が強風に運ばれて流れ込んでくる。
(ここでトップに立つ2人パーティー) (続く4人パーティー)
上の2枚の写真は、ほぼ同じ時間同じ場所です。晴れ間と雲(右から)が、交互にやってくるけど降雪はない。雲が抜けた後に眩しいくらいの青空と風景、雲の切れ間や中央に浮かぶ峰々、オーオーといいながらカメラを出すが間に合わない。すぐに雲に隠れる。
(西尾根下部/尾根末端が小ピーク) (2番手で到着/人影は4人パーティー)
西穂高岳山頂までのルートが見える場所まできた。自分なりにルートを目で追い、視界が悪くなっても対応できるように凝視した。足元の雪量は、降雪が少ないのか風で飛ばされたのか相変わらず少ない。吹き溜まりで膝くらいだ。雲の合間にはジャンダルムも綺麗に見えてきた。このルートの核心である頂上直下の岩稜基部に4人パーティーがいた。小ピーク下部からの大部分に、トレースを引いてもらったので、先に登頂してもらおうと思ったが、逆にお先にどうぞと言われ先行して本日第2登。西穂高岳山頂には、想定時間内の早いうちに着いた。ラッセルが少なかったのが大きい。ルート上部は硬い雪面にアイゼンの爪をきかせての登りで、脹脛への負担が大きく核心部分でピークとなった。でも、そこは年の功か経験値か問題なく乗り越えた。ここまでくれば、あと登山道を下るのみ悪天になってもどうにでもなる。
(西穂高岳山頂から下降に入る2人パーティー) (同左/最奥はピラミッドピーク)
(晴れた独標/ピラミッドピークから) (独標から見た笠ヶ岳方面)
懸念していた稜線の風も問題になる程でない。登山道の雪は少なく夏道通しにトレースも目印もある。西穂山荘から西穂高岳をピストンしたのだろう。独標までは何とか天候ももった。休憩後、下降に入る。今までと打って変わって一面ガス、次第にトレースも見えなくなる。地図はザックの中、昔の記憶で広い雪面を右へ右へと下る。前後に人影もなく、降りすぎたかなと思ったとたん尾根が細くなり西穂山荘まで導かれる。バテバテで山荘到着、今日の行動時間は約9時間。テントを設営し上高地への下降点を確認する。今日は大晦日、山荘内はイベントで盛り上がっているみたいだが、テント場は静かなものだった。周りに気を使っているのか・・・ ラジオの入りも悪いし疲れたので、早々にシュラフにもぐりこんだ。やっと長い1日が終わった。
1日(日)
初日の出を見て、上高地経由で下山の予定だったが、起きると雪が降っている。(早朝-10℃) 一面ガスっていて視界が悪い。天候が回復し、初日の出が見れればと、ポイントに向かうが太陽は出ない。テントに戻り考える、上高地に行くか新穂高経由で帰るか、前期の槍ヶ岳の時もそうだが、こういう場合はほとんど楽な方を選ぶ。変な理屈を付けて・・・ 山荘に行ってロープウェイの始発を確認、お汁粉をご馳走になり、明るくなったテント場を後にロープウェイ乗り場に向かった。
今回の山行は、樹林帯のトレースに助けられた。このトレースが無ければ2400m付近で力尽きていただろう。31日の西尾根上部は、常に2番手3番手でトップに立てず情けなさを痛感した。その為か、達成感・満足感はない。同時期に西尾根に入った他パーティーには感謝したい。
K宮 (記)
登頂おめでとうございます。
素晴らしいトライであったと思います。
少数の抗う方たちのみが見ることができた景観はいかばかりだったでしょうか。
またお話聞かせてください。
お疲れ様です。
雪稜の名に相応しい登攀ですね。
羨ましいです。
この時期の穂高は本当にキレイですね、、、
自分ももっと鍛錬を積んで こんなアルパインをやりたいなあああと切実に思いました。