鹿児島県 大隅半島・鬼岳(おんたけ)などでのクライミングツアー

H田です。
久しぶりに投稿をします。

2017/12/27~2018/1/3でかみさんと鹿児島クライミングトリップに行ってまいりました。
鹿児島ではこれまでも薩摩半島・金峯山の岩場や屋久島の岩場は訪れており、散々enjoyさせてもらいました。

今回は未知の大隅半島でのクライミングをするべく、先頃鹿児島黒稜会のY澤先生によりまとめて発表された「鬼岳」(これで「おんたけ」と読む)を中心にトライする計画を立てたものです。

 

今回も半分以上観光のようなものでしたが、マルチ、ショートともに楽しめる本土最南端の岩場は一見・一登の価値が確かにあり、すばらしいロケーションのもとでクライミングができるエリアをお伝えしたいと思い報告に及びました。

左から西尾根、西岩稜。最も高くみえるところが南峰。右端の小岩峰がサブマリンカンテ。

左から西尾根、西岩稜。最も高くみえるところが南峰。右端の小岩峰がサブマリンカンテ。

12/27:羽田空港~鹿児島空港~レンタカー~鹿屋観光~入山口偵察~根占温泉ネッピー館(ベース)泊

12/28:サブマリンカンテ(6P、5.10a)

前日に偵察はしたものの、第1分岐まででそこからのアプローチは結構長く感じました。

秋~初冬にかけて体調不良で散々でした。体調に気遣っての今回のトライです。

十分な目印と踏み跡に導かれ、45分ほどで取付に到着。

踏み跡等からエリアで最も人が訪れているルートと推察できます。

サブマリンカンテの中間部をリードで登るかみさん。

サブマリンカンテの中間部をリードで登るかみさん。

ルートはほとんどが一桁グレードでやさしいといえますが、ミニマムボルトでなめてかかると怖い思いをします。

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振り返れば後方に海が見渡せる。

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後ろの岩峰が「南峰」。海上に見える開聞岳が印象的。

気持ちよく全ピッチオンサイトで完登。かみさんとのつるべ登りは今までめったになかったな。かみさんはリードが上達しており頼もしい。

NPは持っていきませんでしたが、使うようなところはありません。下降は1Pの懸垂の後は徒歩ですが、意外と悪いところもあるので要注意でした。

12/29:主稜線縦走=ナックルピーク~イースタンコル(7P、5.10b)

このラインはエリアの概念を知るためにも一度は通っておくと良いとされています。

縦走という語から容易さを想像すると大いに異なります。

アプローチ部分はきわどく、岩稜の登りも短くもピリリとするものでした。

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藪の尾根歩きはハイグレードハイキングの様相。

ナックルピークとされる岩稜帯に出る前がけっこう怖かったです。

最低限の整備はされており、フィックスロープなどもあるのですが岩にへばりついた木を支点としたそれはちょっと頼りなく、信じるしかありませんでした。

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フィンガーピーク(北峰)は5.9の短い登り。

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フォローで登るかみさん。このルートは短いロープ(20m)が重宝した。

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頂上の新旧終了点

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右の高い岩峰が南峰。ようやく全容が見えてくる。

ギザギザの岩稜を巧みに登り降り(懸垂含む)し、ジャンケンリッジ(上から見るとグー・チョキ・パーに見えなくもない)を越えるとセンターコルに至ります。

ここから南峰の取付に至るにはクライミングが必要です。

ボルトもあるのでなんとなれば人工手段もとれますが、ここはフリーで登りたいものです。

 

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センターコルからヤーンキレットに出るにはちょっとしたクライミング(5.8)が必要。

ヤーンキレットから短いクラック(無理に登る必要なしなのに登り、雨具を破いてしまった)と凹角(超悪い。5.9とは思えないので人工で上がった)を登り肩に至ります。

ここから最終ピッチにトライ。

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南峰最終ピッチ。5.10bはちょっと辛い。

2本目でヌンチャクつかんでしまいました。

高度感もあって怖かったです。

5.10bといわれると辛く感じました。でもこのような場所にも比較的新しいボルトがあるのは感謝です。

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自分たちが登ってきたジャンケンリッジ(中央フィンガーピーク)と錦江湾を望む

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かみさんもフォローで登る

かみさんとピークからの眺めを堪能して、下降にかかりました。

2Pでヤーンキレット(取付)に降りられます。

終了点の支点状況は極めて良好でした。

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ヤーンキレットからは昨日登ったサブマリンカンテが下に見えた。

「縦走」はまだ終わっておらず、もう一丁岩稜帯を乗越さなければ縦走の終点イースタンコルに至りません。

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短いが奮闘するスクイーズチムニー(5.10a)が待っていた。

7mほどのスクイーズチムニーをフリーで突破し,荷揚げをしてかみさんを迎え入れました。

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かみさんには荷揚げしてからフォローで登ってもらう。

岩稜を越えたところがイースタンコルで、懸垂点がありました。下降してやれやれと思ったのもつかの間、サウスガリーとされる場所の下降がけっこう急で、谷底を見るにまだまだ気が抜けないと思わずにはいられませんでした。

どうにか見覚えのある場所にたどり着き,周回したことがわかり安堵したものです。

この時期の鹿児島は17時過ぎぐらいが日没ですが、車にたどり着いたのは16時半過ぎでいい時間になってしまっていました。

sb (13)

錦江湾に沈む夕日。充実した山行であった。

12/30:ショートフリールート探索。ワインエリア目指すも発見できず。

マルチピッチはある程度堪能したので、ショートルートそれも上部にあるところを目指そうということになり西尾根に近いワインエリア(ここでは酒の種類をエリアの名称にしているらしい)にアプローチしてみました。

sc (1)

中央に深く切れ込む大ガリー奥まで見に行った。

ところが、どうたどっても行き着けず、いよいよ面倒になりもうヤメだということにしてしまいました。

やけになって行った先は九州最南端の佐多岬。

sc (2)

九州最南端の佐多岬

それでも佐多岬の帰路、「さざ波エリア」の偵察はをしておきました。

Y澤先生のHPに紹介されていたシークリフです。

実際近くで見てみると予想以上におもしろそうであったため、予定にはありませんでしたがレスト日の後にはトライすることにしました。

この日から宿は鹿屋のビジネスホテルに変更で、このあたりへのアプローチは遠くなってしまいました。

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鬼岳は遠目で見ても目を引くが、稜線の一角に過ぎない。

12/31:雨天もあり予定通りの観光レスト。

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桜島溶岩渚にてボルダーのまね事

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垂水にある謎の温泉「テイエム温泉」。泉質良。

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鹿屋の荒平天神(菅原神社)。映画のロケ地にもなったとか。

1/1:さざ波エリア(伊座敷)にてトラッドクライミング

アプローチや終了点など偵察しておいたのでスムーズに取付に至れました。

釣り師はそれなりにいるところのようでしたが、元旦から人はおらず貸し切りの様相でした。

se (4)

天気いまいちで寒かった。引潮の時間帯を狙う。

エリアはもちろんすべてトラッド。

終了点が木などで脆弱なのが玉にきずです。

短い5.8でアップの後、狙ったルートにトライ。

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入念なオブザベ。グレードはわずかに5.10aだが興味をそそる。かすんでいるが後方に開聞岳。

se (1)

ラギング・ウエイブス18m、5.10a

se (3)

気持ちよくオンサイトで登らせていただいた。

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高校生であった小山田大が完登したというブロー・オブ・ポセイドン5.12?下部だけ触ってみた。

se (6)

強烈なルーフクラックは魅力的だが刃が立ちそうにない。TRでも工夫が必要そうだ。

寒くなってきたこともあり、2本の登りで早々に終了しました。

1/2:ショートフリールート再トライ。

この日がツアー最終と考えていたので、悔いのないようショートにトライすることとしました。

やはりアプローチが核心。

近いとされる焼酎エリアでもけっこうな時間がかかりました。

sf (1)

焼酎エリア「No.1クラック」15m、5.10a

ワインエリアのありかのイメージが前夜から降りてきたのでいってみることにしました。

ドンピシャで当たり。

一昨日は途中まで行きかけており、縦走の折はその脇を通り抜けていた場所でした。

sf (2)

ようやく見つけたワインエリア「メーリンガークラック」12m、5.10a。短いがフィンガージャムを試される好ルート。

sf (3)

ツアー中で一番の快晴に気分も上がる。終了点から見た開聞岳。

sf (4)

ワインエリア「マンズクラック」23m、5.9もなかなかの好ルート。

エリアを代表するすばらしいルート3本をオンサイトで登らせていただき、満足して下山しました。

1/3:帰路における岸良の岩場の偵察。

Y澤先生お勧めのシークリフがもうひとつありました。

大隅半島の太平洋側にある岸良の岩場です。

登攀用具は送ってしまったので登れませんが、後学のために偵察することにしました。

sg (1)

小屋岩方面(中央)を望む

アプローチ至近ですばらしいエリアでした。

高さはそれほどないものの、低グレードながら遊べそうなルートが粒ぞろいで、機会があればぜひトライしてみたいとの念を抱きました。

いわゆる本物のクラッカーたちには相手にされないかな。

そういう人たちは瑞牆にでも行ってうなっているのがよろしい。

enjoyクライミングを十分予感させられる岩場と見ました。

sg (2)

曲がり岩。釣り師の道があり,アプローチはいずれも容易。

今回の鹿児島地域は本当のところそれほど暖かくもありませんでしたが、場所やコンディションによってはかなり暖かいところであるのは間違いありません。

食事は何でも旨く、焼酎は絶品でした。

そういえば今年の大河ドラマ「西郷どん」で地元は盛り上がっているようでしたが、私はスルーでした(西郷さんは根占当たりで猟を好んでしていたそうですが、山にイノシシは多そうでした)。

今回もかみさんには大感謝です。

またチャンスがあれば行ってみたいものです。

岸良の岩場、ご一緒にいかがですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鹿児島県 大隅半島・鬼岳(おんたけ)などでのクライミングツアー」への1件のフィードバック

  1. kいそ

    鹿児島トリップお疲れさまでした。

    いやー楽しそう!!
    どんな所なのかなぁ〜と報告を楽しみにしてましたが、好奇心をくすぐられました。
    しかし、アプローチの深さを考えると、開拓された方々の熱意と苦労が偲ばれます。

    鹿児島は磯釣りやスピアフィッシングが盛んだという噂を聞いて学生時代に遠征し、水中銃で巨大なクエをゲットして興奮した思い出があります。
    今度はクライミングで訪れてみたいものです。

    岸良の岩場いいねっ!!

    返信

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