真砂尾根から大日岳へ

K宮です。念願だった大日岳への継続縦走に行ってきました。剱岳と言えば、積雪期又は残雪期の北方稜線、更に大日岳への継続縦走、それに鹿島槍ヶ岳から黒部川横断、剱岳越えで馬場島へが私の憧れや目標のルートでした。当然、私の力量から残雪期となる。黒部川横断は、いくつかこだわりがあって、赤岩尾根は使わない、十字峡を渡る、その後、八ッ峰を登り小窓尾根下降で馬場島に下るでした。過去数回チャレンジしたが、力不足で鹿島槍南峰から十字峡・ハシゴ谷乗越までが残ってしまいました。一方、北方稜線・大日岳は、色々なルートから取り付き最終的につながれば良しとした。今回の大日岳登頂で、宇奈月温泉から剱岳そして大日岳までに足跡を残した事になった。十字峡横断が出来ていない事は心残りだが、これで区切りがついたかなと思う。GW登山歴の半分くらいはこのエリアに通ったことになった。よきパートナーに感謝です。

山行日   5月2日(土)~6日(水)

ルート         黒部ダム→内蔵助谷→ハシゴ谷乗越→真砂尾根→真砂岳→別山乗越→
(剱岳ピストン/悪天中止)→奥大日岳→大日岳→大日平→称名滝→立山駅

メンバー  単独

総重量   25Kg

コースタイム
5/2(土)  黒部ダム出口(7:35)→内蔵助谷出合(8:25~45)→内蔵助平(10:50~11:00)ハシゴ谷乗越(12:05~20)→2200m地点(13:25)  ▲

5/3(日)  ▲(5:05)→2390m地点(7:15~35)→内蔵助山荘(11:15~25)→真砂岳山頂(11:45~12:10)→別山山頂(13:20~55)→剱御前小舎(14:55)  △

5/4(月)  △  剱御前小舎(悪天の為、剱岳ピストンは中止停滞)

5/5(火)  △(4:45)→新室堂乗越(5:25~40)→奥大日岳(7:07~40)→2420m最低鞍部(8:05)→2500mピーク(8:55)→大日小屋(9:05~20)→大日岳(9:40~50)→大日小屋(10:00)  ▲

5/6(水)  ▲(4:15)→大日岳(4:35~40)→大日小屋 ▲(4:50~5:10)→大日平山荘(6:15~30)→牛ノ首(7:20~30)→大日岳登山道入口(8:20)→称名滝バス停(8:30) →バス(9:10)→立山駅(9:30)

5/2(土)
黒部ダムトンネル出口で準備中の八ッ峰パーティー二人と会う。今日の行動予定は私の方が短い、それにスピードも違うので別行動とする。ハシゴ谷乗越までのアプローチは、昨年、5月GWの記録もあるし、八ッ峰パーティーと被ぶるので割愛する。ただ、黒部川の雪量はここ2~3年で一番多い。内蔵助平でハシゴ谷乗越手前の雪面を歩く二人組二パーティーを発見、どちらかが東雪パーティーだな、思わず「ファイト」と小さく言う。

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昨年登った丸山中央山稜と富士ノ折立(内蔵助平から)

 

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初日の幕営地(13:35着)、まだ早いが夜行疲れと、気温が高く腐って潜る雪で体力消耗、で、足が上がらず今日はここまで、一人は気楽だね・・・・・・

 

5/3(日)
所どころに薄い足跡はあるが、本日トップで出発。今日も暑い、歩き始めてすぐ長次郎谷出合で動く二人づれ発見(5:15分頃)。東雪パーティーなら出発が遅いななどと心配になる。結局違ったのだが・・・・・

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左が真砂尾根上部、右のピークは別山北峰で真ん中の谷は真砂沢。真砂沢にはスキーヤーが数名入っていた。

 

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潜るのですぐに疲れる。剱・八ッ峰が良く見えるので、立ち止っては八ッ峰に目を向ける。凝視して二人を探す。あれかなと思い見つめていると動かない、聞こえはしないだろうが、6:45分頃に「東雪ファイトコール」を三回程叫ぶ。照れるが、仲間が頑張っていると思うと言わずにいられない。

 

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真砂尾根は中間部までなだらかな尾根が続き、 撮影ポイントがいっぱいある。止まってはザックを降ろし、写真を撮りお化粧してゆっくり八ッ峰を目で追う。しかし人影は見えない。写真は源次郎尾根と剱岳。

 

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2400mあたりを越えると尾根も細くなり傾斜も立ってくる。尾根上には雪が無く低い這松 の藪こぎになる、たまらず、側面の引っ掻かった状態の残雪に進路を見い出す。しかし、相変わらず気温は高く雪は腐り潜る、至る所に亀裂もある。どちらを選択しても辛い。左の写真は奥が富士ノ折立、手前が真砂尾根上のピーク、右の写真は難所を越え振り返って撮った、遠くの山は後立の峰々。

 

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内蔵助山荘(閉鎖中)、幸い真砂尾根は貸切だった。

 

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剱沢と剱岳、今日の幕営地をどうするか悩む。明日4日は剱岳ピストンの予定。天気は午後崩れる、半日持てば行って来れる。綺麗な絵図を描くなら剱岳登頂は絶対に必要だ。とりあえず、剱御前小舎で最新の気象情報を入手する事にする。話によると明日の崩れは早いだろう、雷と風雨が強く動けなくなると、やむなく剱岳登頂断念。後は、剱沢のキャンプ地に下って5日早朝までテントでしのぐか、小屋で連泊して5日からの後半の縦走に備えるかだ。根性無しの私は小屋での連泊を選択した。

 

5/4(月)
4日の天気の崩れは早かった。朝の早い時間から風雨は強くなった、が、雷は無かった。12時前の天気予報を見ようと1階に降りる。すると後ろからK宮さんと声がする。振り向くと何とY岡さんがいる。悪天の為に下山ルートを変更したとの事。S木さん含め3人で夕食を共にし、八ッ峰登攀の成功を聞いて乾杯。彼らは疲れているだろうし、私はまだ先がある。そうそうにお開きにして明日にそなえた。

 

5/5(火)
二人には、昨日の夕食時に早めの出発を伝えていた。雨の後、気温が下がり雪面は硬く締まっている。快適に歩を進める。今日の目的地は夏のタイム(昭文社)で5時間の大日小屋。腐り雪による体力の消耗と未知の領域を考慮して余裕の行程を組んだ。

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写真は奥大日岳、ここまでは3年前に来た。5人パーティーを追い越しトップで登頂。

 

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奥大日岳、右後方は終着地の大日岳、ここからは未知のエリアである。天気も良いし雪も締まっている、最大の特徴の雪屁も大方落ちていて残っているのは残骸のみ、成功を確信した。

 

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七福園あたりから室堂・立山三山方面を撮る。

 

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最終の地、大日岳山頂。色々なルートからここを目指したが何時も途中敗退長かった。
感無量である。もっと前に出て剱岳の全景を撮りたかったが雪屁が気になり前に出れない。

 

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今日中の下山も出来たが、長い間目標にした山またエリア、1時間かけてテント設営、誰もいない地で一人思い出に耽ることにする。もう来る事もないだろうから。

 

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手前黄色がテント、後方の小屋は大日小屋(閉鎖中)。16時頃2500m峰に人影発見、下っては来ない。上にテント張るようだ。日の入り・日の出を考えての事か・・・・・

 

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最後の酒を飲み、昼寝などして夕暮れを待った。テント場付近より、

 

5/6(水)
縦走最終日、今日中に東京に戻らなければならない。交通機関も混むだろう。チョットあせる。少しでも早く下山したい所だが、最後だと思うと日の出を見たくなる。日の出は大日岳で4:40分頃、4時にはテント撤収し大日岳山頂で日の出を待つ。今日の目的地は夏のタイム(昭文社)で4時間10分の称名滝バス停。今日も雪は締まっている。昨日と同様、夏タイムで行けるだろう。9時に着けば富山駅を12時頃の北陸新幹線に乗れる。

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大日岳山頂でとりあえず写真を撮り、テント場で日の出を待つ。太陽は5時頃に前剱から上がって来た。これで心残りはない。

 

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大日小屋前の鞍部から大日平を望む。写真中央あたりが大日平山荘。

 

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大日平山荘(人の気配あり)までは問題なかった。ここから大日平を牛ノ首に向かうが、天気良し、視界良し・・・でも牛ノ首へのルートで迷う。支流が幾つも入り込み先端が岬と言うか左足の指先状になっている。入る指を間違えると牛ノ首には行けない。踏み跡もどきは至る所にあるが肝心の踏み跡は見当たらない。ザックを置き、空身で藪の中を捜しまわる。幸い指は合っていて30分位でルートを見つけた。視界が悪かったら当日中の帰京は出来なかったかも。残雪期下降ルーファイの難しさか、単に読図力が無いのか、まー、後の方かな。牛ノ首からは急な残雪と荒れた夏道をつないで大日岳登山道入口へ降りた。称名滝見学も考えたが、帰る事を優先させ称名滝バス停に向かう。そして立山駅から富山駅に出て北陸新幹線で東京にもどった。

真砂尾根と奥大日岳から先は登山者にも直接は会わず静かな良い山行が出来た。登攀ではなく一般縦走と言う事で緊張感は無かったが、八ッ峰パーティーの熱い話に若き日の自分を思い出した。山行前のプレッシャーが大きいほど達成感・満足感も大きく、心に深く残っている。帰りの電車で飲む酒も美味かった。そういう山行が出来なくなったいま、ただ、羨ましかった。

 

K宮 記

 

 

真砂尾根から大日岳へ」への2件のフィードバック

  1. Sキ

    大日岳登頂おめでとうございます。まさに継続は力なりですね。今回は偶然にも黒四ダムと剱御前小屋でおあいしましたが、また、同じ山域でお会いできるような山行をしてみたいです。

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  2. 匿名

    よかったなあ.楽しく,また,じっくりと読ませたもらったよ.

    これまで,一緒に行った山々を久しぶりに思い出した.厳しかったのもあるが,楽しいものだった.
    落ち着いたら,5月の立山あたりからから残雪の景色をみたいものだ.また,よろしく.

    返信

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